コンプライアンスの意味と事例

コンプライアンスの意味とは?


コンプライアンスとは、「従うこと、守ること」を意味します。「法令遵守」と訳したりもします。ただ、法令を守るべきなのかは、個人や企業を問いません。当たり前のことですよね。企業の場合は、法人として法令にしたがって法人格という人格を付与され、事業を行うことが許されています。したがって「コンプライアンス=法令遵守」は法人が存続するうえの前提条件といえるでしょう。

それでは、なぜ昨今「コンプライアンス」が重要な問題になってきたのでしょう。それは、法令違反によっての法的制裁と、インターネットの普及による社会的制裁が年々重いものになってきたことが原因です。

コンプライアンス違反の事例


その事例として、2013年の秋に有名ホテルでメニューの偽装表示が相次いで発覚し社会問題になりました。食品の偽装表示(外国産のものを国産と表示する等)は、不当景品類及び不当表示防止法の違反になる可能性があります。この法律は一般消費者に優良な商品やサービスであると誤解させる「優良誤認表示」を禁止しているからですが、その適用のラインは曖昧でした。

これらのホテルメニュー偽装事件の後、2013年の12月に消費者庁はガイドライン案を発表しました。その内容とは、どういうものが「優良誤認」に当たる表記なのかという定義や具体例を示すこと、でした。例えば、「ビーフ」「ビーフステーキ」「霜降りステーキ」といった表記は、加工していない牛の生肉の切り身を焼いたものにしか使えず、牛脂注入などの加工肉には使えない」等の内容が含まれていました。

その後、消費者庁はこのガイドライン案について広く一般に意見を募集しました。2014年3月に正式なガイドライン「メニュー・料理等の食品表示に係る景品表示法上の考え方」としてまとめ公表しました。

さらに政府は消費者庁と消費者委員会において景品表示法の改正作業を進めて2014年11月にこの改正法が国会で成立しました。不当な表示を行った企業に経済的不利益を課す課徴金制度を導入されたのです。また、自主申告による課徴金の減額、諸費者への自主返金の実施による課徴金額の減額もこの改正法で実施されました。

コンプライアンス違反がもたらすリスク

コンプライアンスを違反して問題が起きると、企業や分野によっては、それに対する大きな社会的制裁が避けられなくなってきました。社会的制裁は、罰金や課徴金などといった法的制裁以外の例えば消費者団体による大規模な不買運動の対象にされるといったリスクがあります。

メニュー表示偽装問題に対応した法改正が、消費者の声や世論のたかまりを背景にして行われたように、コンプライアンス違反のおこりかたによっては、社会的制裁の方が企業の経営にとって計り知れない打撃をうけるようになりました。

これはSNSなどが発達したインターネット社会になった時代とも深く関わっています。コンプライアンス違反の口コミが一晩で、日本中に知れ渡ることさえあります。経営者は、消費者保護に向けた大きな流れを意識し、しっかりとした対策を講じていく必要があるでしょう。